泥より調理実習:放課後のフードアクション(パイ投げ大乱闘と甘美な地獄編) 夕暮れ時のグラウンドの片隅ではなく、校風の自由なことで知られる私立女子高校の調理実習室。その周囲には、クラス全員分の予算と有りったけのドロドロとした食品・食材を乗せたワゴンや段ボール箱が、山のようになってずらりと並んでいた。今日の特別実習のメニューは、クラス全員参加による前代未聞の巨大なフード・アクション。水で薄めず、大きなバケツや容器からそのまますくい上げるような、トマトソース、チョコレートシロップ、カスタードクリーム、練乳、抹茶ペースト、そしてすり潰した色鮮やかな野菜のピューレといった、ドロドロとした粘度のある大量のカラフルな食材の数々は、調理台の上で重たくうねりながら出番を待っている。 「それじゃあ、まずは落ち着いて、大きなテーブルの上で食材を綺麗に調理していくよー!」 制服の着こなしも自由なこの学校らしく、各自がパーカーやカーディガン、あるいは私服やルーズなブラウスを思い思いに着崩した生徒たちは、委員長の大きな掛け声と同時に一斉に動き出した。あらかじめ下に着込んでいたスクール水着のままで調理台に挑む者、動きやすさを最優先して学校指定の体操着姿のまま突入する者、制服の上からエプロンを引っかけている者など様々だ。足を踏み入れた瞬間、床一面に垂れ流されたドロドロの食材の冷やりとした感触と甘い・酸っぱい香りが、独特の緊張感に包まれた。 フェーズ0:幕開けのパイ投げ大乱闘 「――なーんて、おとなしく調理できるわけないよね! まずは景気付けに、特製パイ投げゲーム開始しまーす!」 委員長が突然悪戯っぽい笑みを浮かべ、ワゴンから巨大なアルミ皿に山盛りになったホイップクリームとカスタードの「特製パイ」を何枚も掴み取った。 「え、ちょっと待っ――きゃあッ!?」 ドンッ! という盛大な音とともに、最初の一枚が最前列にいた生徒の顔面に真っ直ぐ叩きつけられた。真っ白なクリームが鼻や頬を伝い、前髪を完全に覆い隠す。 「うわっ、やりやったな! 食らえ、チョコホイップパイ!」 「こっちも負けないよ、特製フルーツ&練乳パイ発射ー!」 それを合図に、調理実習室は一瞬にしてお祭り騒ぎのパイ投げ会場へと豹変した。お互いの顔や背中を狙って、ドロドロのクリームが詰まったパイが次々と飛び交う。 「あはは、完全に顔が真っ白じゃん! 避けてみなさいよ!」 「うそ、視界がゼロなんだけど! でも、めっちゃ甘い匂いして最高!」 あちこちからキャーキャーと黄色い歓声と爆笑が上がり、ものの数分で全員の顔や髪、制服の胸元が甘いクリームの直撃を受けてぐちゃぐちゃに汚れていった。最初の余興であるパイ投げの嵐が去ったときには、すでに誰もが原形を留めないほどのドロドロ状態になっていた。 フェーズ1:少しずつの攪拌と日常の余韻 パイ投げの嵐で盛大に汚れた後、生徒たちはそれぞれの持ち寄ったカラフルな食材を大きなボウルや皿に盛り付け、慎重に料理を作る作業へと移った。泡立て器やヘラなどの道具は使いつつも、すでに全身がクリームまみれで巻き込まれている。 「さっきのパイ投げのせいで、もう最初からベタベタなんだけど……! まあ、気を取り直してチョコレートシロップとカスタードを混ぜようか」 生徒たちは調理台の前に集まり、最初は道具を使ってそっと食材を扱っていく。冷やりとした、あるいはねっとりとした粘り気のある感触が指の間にまとわりつく。 Mehr sehen